外に出ると、黒獅子の紋章を描いたマントを身に纏った騎士達が剣を抜いて、待ち構えていた。
アキラは、それに驚き、声をあげる。
「黒獅子の紋章だと?ばかな、キリハラ公はいったいなにを考えているのだ。ここまでして戦争を起こしたいのかッ!」
アキラのとまどいをよそにキリハラ軍の騎士は、おどしをかける。
「そこをどけ、女。さもなくばその綺麗な顔に傷がつくことになるぞ」
その頃、ナルミ達がやっと外に出てきた。
ナルミは驚く素振りさえも見せず、楽しげに言い切った。
「フン、能無しばかりだぜ」
アキラは、そのナルミの言葉に影響されたのか、一歩進み出ると剣を抜いた。
「ならば、ここは我々だけに任せておくのだな!」
敵ナイトに向かって斬り込んでいったアキラ同様、ナルミも自らの剣を抜いて、言い放った。
「それでは金が稼げンのだよ!ラッド、カザ!オレについて来いっ!!」
戦いは終始、アキラとナルミ側が優勢のまま終わりを告げた。
聖騎士の称号を持ち、王女の護衛をまかされているアキラである。
一瞬にして、その技を用いてキリハラ軍を粉砕した。
場が平穏を取り戻したように思われた、その瞬間。
聖堂の中から、の悲鳴が聞こえた。
「離しなさい!」
「しまった!」
その悲鳴にはっとして、アキラはすぐさま聖堂に引き返した。
キリハラ公の目的は、王女。
先ほどの騎士達は護衛を引き付けておくための、ただのコマに過ぎなかったのだ。
失態を恥ながらもアキラは急いだ。
が。
キリハラの刺客は、すでに聖堂の裏の扉から出ていた。
修道院の裏には、水路が通っている。
「こっちへ来るんだ!おとなしくしないかッ!」
男の声に続き、の抵抗の声も聞こえる。
「誰が貴方の言いなりにッ!」
ひるむすべを見せない所は、さすが王女といったところか。
しかし、の必死の抵抗を他所に事態は悪化の一途を辿っていた。
暴れるに、さきほどまでは扱いが丁寧だった男の様子も変化する。
「うるさいお姫様だ」
男はを殴り、気絶させると、水路に待たせてあったチョコボに乗り込んだ。
そこへ、アキラが剣を構え叫ぶ。
「ま、待てッ!!」
男は振り返ると、アキラに冷たい声で顔色も変えずに言った。
「悪いな...。恨むなら自分か神様にしてくれ」
追い掛けるアキラを他所に、そのまま男は水路へと消えた。
あとにはただアキラの消沈した声だけが響く。
「...なんてことだ」
水路に消えた男をみていた、剣士がつぶやいた。
「エイシ...??生きていたのか、エイシ?...でも、どうしておまえがキリハラ軍にいるんだ?どうして...?」
剣士ショウと、男エイシ。
のちに英雄王と称されるエイシは、ショウと共に王立アカデミーに通う騎士見習いだった。
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