歌うような君が好きだった。


眠りの歌が好きだった。













guadian  force  song










反対なんてしてなかった。
俺は劇でいえば村人その1で。
もちろん名前はジローっていうものが与えられてたけど、正面きって自己主張出来るような立場じゃなかった。
それに比べて、幼なじみのは劇にあてはめたら主役で。
もちろん、ヒロインと言いたいところだけど、実のところヒロインと言うよりヒーローと表したほうがよかった。





それは彼女が、スピラを救う立場にあったから。





もちろん、が辿るであろう運命は知っていた。
小さい頃から、父親・母親、そして僧侶たちに何度も聞かされていたし、大召喚士になったわけでもない見習い従召が命を落としたりすると寺院は一斉にその追悼をはじめたからだ。

だけど世界がおかしくまわろうと、俺の世界にはそんなことは一切関係なかった。

こどものころから。
俺はの歌う歌の中で眠れればよくて。
の髪を梳いてくれる手さえあればよくて。
そしてそれが続いてくれないことくらい分かってた。



とめるつもりも諌めるつもりもなかった。
だから、俺はケイゴやユウシやリョウがを必死に説得するのをただみてただけだった。
困惑した、でも意志の固いの顔を。


そしては、あるときついに旅立っていった。
もうあえないことくらいわかってた。


次に帰ってくるときは、遺骨か遺品だってことも漠然と頭を駆け巡った。


何もかもが予測できて、分かっていて予定どうりで話通りで。
亡きがらとなって帰ってきたを海に沈めたときも気丈に振舞って涙をこらえてるケイゴやユウシやリョウみたいに、隠れても泣けなくて。





もしかしたら、俺はなにひとつ分かってなかったのかも知れない。




死というものがなんなのかさえ。






俺は急にの歌が聞きたくなった。
眠るときに必ず歌ってくれた静かな曲。
でもそれは聞けない、もう二度と。





柔らかなベッドから降りて、海へ向かった。
海岸にはケイゴやユウシやリョウの姿がみえる。
でも、そんなことに構っているより早く、一刻も早くの歌が聞きかった。







俺は、照りつける金色の太陽の中、干上がった砂浜を踏み付け、歩いた。
打ち寄せる波は高くない。
いつもの安定したさざ波を聞きながら、エメラルドグリーンの絵の具の中に足を踏み入れた。
ひんやりとしたヴェ−ルが身体をゆっくりと包んでいく。





波音がの歌のように聞こえる。




完全に身をゆだねようとしたとき、力強い腕が俺の身体を引張り上げた。



「馬鹿か、ジロー、なにしてる!」


それは、俺の仲間のケイゴだった。


俺は駄々っ子のように水の中でもがいた。
ケイゴの腕がからみついてる、ユウシの手が体全体を支えていて前に進めない。
リョウの手が頬をかすめた。
みんな苦痛に歪んだ表情をしてた。


「ジローどうしたんだ、寝ぼけてんのか」


そう言ったリョウの言葉は、だけどそんなこと微塵も思ってないトーンだった。
暗い影が波間を包み込んでいく。




「みんなどうしたの?俺はただの歌が聞きたいだけだよ」



にこり笑って言ったつもりだった。


自分がおかしいなんて自覚はなかった。



だって、がそばに来れないなら俺がそばに行くしかないってそう思っただけだから。
そうしないと歌が聞けないからそうするのは必然だって思ったから。



「ジロー、もうは歌わない、歌えない。もういないって分かってるだろ?」


ケイゴの押し殺したような声が大地に響いて割れた。
言い聞かせなんて優しいものじゃない、それは独白に近しい音で。



「うん、分かってるよ。だから俺はのそばにいくしかできないじゃん。の歌を聞くにはそばにいくしかないじゃん」




























「違う、ジロー。もう聞けないんだ」




































































きみの、きみの歌がすきだった。
眠るときに歌ってくれるあの歌が、俺の支えですべてで。




























追記**


ジローちゃん版、guadian  force。
かなり長くなったけど、文体を忘れた割にはいいかんじですな。
ところどころおかしいけど。
今回ジローは、原作でも感じるような摩訶不思議キャラのまま使ってみました。
自分をふつうだと思ってるけど、彼の考え方はほかの一般のケイゴ(跡部)やユウシ(忍足)、リョウ(宍戸)とは違っていて一直線なんですね、思い込んだら。
精神年齢がちょっと止まってしまった感じのイメージを抱いてもらえると分かりやすいかも知れません。
でも、もちろん理解出来るところはちゃんとできる。
だって、彼は決して自分を失ったわけではないのだから。
ただ、ちゃんを失ったダメージで理解出来るはずの事ができなくなると。
なってしまったと。
そんなかんじなのでしょうか。
そしてやっぱりジローと言えばお昼寝ですよね。
最後の行動は気が触れたわけではなくて、思い付くままに行動してるだけです。
lenとしてはなかなかジローちゃんらしさが出せたんではないかと思っています。
かけて楽しかったです、ありがとう。
ちなみに舞台はビサイドをイメージし、仲間として氷帝ボーイズたちにも出演してもらいました。
それにしても宍戸が書けないよ...。



image  song  FINAL FANTASY  ]『ザナルカンドにて』『異界送り』

FINAL FANTASY]-2『1000の言葉』





2003.07.13