好きって言ってくれないと不安ばっか溜まってくんだよ、馬鹿跡部。













揺らいでしまう気持ちを救って抱きしめて。












女らしくなんてしてないけど、あたしだって人並みに不安くらい持ってる。
跡部の前では余裕かましてみせるし、強がるけど。
ホントはずっと不安。

ホントに跡部はあたしをすきでいてくれてる?

「すき」なんてあれ以来面と向かって言ってくれてないけど、心変わりしてない?

ねぇなんで最近逢いにきてくれないの?

飽きたからじゃないの?

もっと可愛いコみつけてそっちが気に入っちゃったからじゃないの?

あたしのことなんて頭から消えちゃったからじゃないの?

ねぇ、どうして。

結論はまだ怖いから言えないけど。

すきっていってよ。

じゃないと揺らいじゃうじゃん。


優しくしてくれる渋沢や南をいいなって思っちゃうじゃん。

藤代のデートにオッケーしちゃうじゃん。

笠井のピアノに心を許しちゃうじゃん。



全部全部跡部から欲しいのに。
跡部から聞きたいのに。

どうして目の前で愛をくれようとしてる人は跡部じゃないんだろう。








、分かってると思うけど言わせて欲しい。一年の時からずっとみてた、俺と付き合ってくれないか」

ありきたりの言葉なのに、渋沢の全部を込めてくれたのが分かってほんのり熱くなった。
優しくて助けてくれてすごく尊敬してる渋沢。
人気あるのもお婿さんにしたいのも分かるよ。

だけど、やっぱり跡部が過って。
答えを返せなかった。
いいよとも言えないけど、ダメとも言えなかった。


逢いにさえきてくれない男より、近くのずっと一緒の渋沢のほうがいいかなって、紅葉をふみつけた足がちょっと思った。
空中浮遊の気持ちのまま、送るよと言った渋沢を遮って校門に向かう。

一人で考えたかった。

渋沢や、三上。
そして跡部のことを。







「おせえよ、

聞こえるはずのない声に、顔をあげる。
夕日のオレンジを背に受けて目の前に不満げな表情の跡部が、寄り掛かってたっていた。
思わず口から驚きの声が自然にこぼれた。

「跡部、なんで...?」

声に出来ない、続きが跡部の声にかき消される。

「あ、んなの逢いたかったからに決ってんじゃねーか、帰るぞ」

当然のように返して、さりげなく跡部はあたしの手を握った。
ぎゅっと、固く。

歩きながら、まだ終わっていないはずの氷帝テニス部のことが過った。
握られた手を離すついでに、皮肉を込めて言葉を吐き出す。

「レギュラー落ちでもしたわけ?」

こんなに早く帰ってきちゃってさ、喧嘩をふっかけるような挑発をさらりとかわして、跡部は三上みたいな笑いかたをした。




すきだった三上と同じ笑いかた。




「お前こそ、レギュラー外されて秘密練習でもしてたのかよ」

それ以上腕っぷし強くなるんじゃねーぞ、と笑われて思わず吐き出した。

「別に強くてもあたしがいいって言ってくれる男くらいいるからいいよ」

その瞬間、まっすぐだった跡部の表情があたしに向けられて目があった。
どっからどうみても跡部は狼狽していた。

握られた手にもっと力が込められて外せなくなる。
指が絡まりあって熱が一緒になる。

「...三上のことかよ」

静かな低い声が耳元に反響して響き続けた。

「違うよ」

三上なわけないじゃん。と小さく呟く。
10cmくらいしか変わらない身体がオレンジを遮って覆った。

「...渡さねぇよ、絶対」

誰にも渡さねぇ、耳元で囁かれた言葉が渋沢のときとは違う熱をもたらして、どんどんあがっていった。
恥ずかしさで、自由になった腕が跡部の身体を無意識のうちに押す。

「好きだ、

耳に甘く囁かれて身も心も跡部に任せそうになる。






合わさりそうになった口唇をやっとの思いで遮って「バーカ」と笑い返した。





こんな風に言われただけで、不安も三上も渋沢も全部消えてなくなっちゃうんだ。
跡部だけになっちゃうんだ。

だから適わない、だから参ってる。
前向きでまっすぐな気持ちに。






























追記**



もうなんにも言えない、夜はいい気持ちで書いてるのに昼間みるとなんて微妙なんだ
ろうと頭を抱える始末。







up date2003.08.27