伝説なんて、必ず失敗の上に成り立っている。

俺が、『伝説のガード』と呼ばれることだって、そう。

失敗の上に成り立ったものでしかない。









祈りの声が聞こえたか。













ガガゼトの道が、お前を思い起こさせたのかも知れない。
ザナルカンドに続く、あの道が。

15年前の、誰も知らない召喚士の死を。

ブラスカ様と、ジェクトと旅に出る前に、たった一度だけ、旅立ったことがある。

ビサイドに住んでいた娘、と。

召喚士である彼女と。

ちょうど、いまのユウナとおなじように。

ビサイドから、キーリカ。

ジョゼ・エボン寺院。

寺院は、まだそのころ召喚士に対して恩恵を感じていなかったから、とりあえず
祈り子の間を解放してくれるだけだった。


それでもおれたちは旅を続け、マカラーニャ寺院を越え、べベルを過ぎ、ナギ平原に辿り着いた。

その頃は、彼女も心底嬉しそうだった。
ザナルカンドにつけば、究極召喚が手に入る。

究極召喚で、シンを倒せる。

その考えだけで彼女は歩みをすすめることが出来たんだ。

そう、誰かの為に尽くすと言う、それだけで。

俺は、それを叶えてあげたかった。

まだ、究極召喚についてなにも知らなかった。

寺院とザナルカンドのことも何も知らなかった。

何も知らない、無知な。

若造だったんだ。

旅に出るなんて、シンを倒すなんて、まだ到底できない、そんなやつだった。

俺は彼女を守ってやることなんてできなかったんだ。


ガガゼトの白い雪をはじめて、と踏んだとき。

彼女は嬉しそうに笑った。

「ザナルカンドは近いよね!!」

歩みを進めたとき、たった一歩でも彼女は嬉しそうだった。

それが、俺の憶えている彼女の笑顔。

白い雪の同化した笑顔。

だけど、その笑顔は頂上でついえてしまった。

彼女は、ちょっと目を話したスキに。

ザナルカンドを恐れていた、ベベルの衛兵にその場でなぶり殺されたんだ。

...無惨だった。

顔中、深紅の血で染められて。

白いふくが、まるで桜にうめつくされたように赤く染まってた。

幾重にも貫かれた痕。

夥しい数のヤリの痕。

そのとき、はじめて気付いたんだ。

大事な人だったんだ。

と。


願いを叶えてやりたかったと、だけどそれは。

生気のない彼女には無理なことで。

俺は、ガガゼトの頂きに彼女を密葬したんだ。

それが、ここだ。

ブラスカが異界送りをしてくれてな。

ジェクトがスフィアを納めてくれた。




ユウナ。

良かったら、異界送りをしてくれ。

も、きっとそうして欲しいと思う。





ユウナは、杖をとって舞を踊る。

とおなじ、その姿で。




ガガゼトの雪を一歩、進んでは笑っていた。



お前が目指したザナルカンドに、もうすぐ辿り着く。


祈りの歌が響く、あの大地に。


















後書き

初FFドリーム!!
そして、初アーロン。
いやんv
でも、悲恋。


image song FINAL FANTASY ] 『極北の民』


2001.08.01