知らなかったんだよ。
ごめんってば。
それだけじゃすまされない世界だって知るのが遅かったんだ。
セックスフレンド。ー千石清純くんのばあい。ー
「ちゃん〜〜〜〜〜〜〜vvいいでしょ〜〜〜〜〜〜〜〜〜いいでしょ〜〜〜〜〜〜?」
俺は駄々っ子みたいにクラスメイトのちゃんの腕をぶんぶんと揺らした。
俺のファンがみたら、『千石くん、かわい〜〜〜〜〜v』とか言ってくれる仕草なはずなのに。
ちゃんはつれない態度。
「も〜〜〜〜〜千石うっとおしい」
ぴしっと一言で言いはねられて、つかんでいた手さえも離されそうになる。
俺は、それをさせるまいともっと強くちゃの腕を掴んで揺すった。
「ね〜〜〜〜〜、ちゃんってば〜〜〜〜〜〜」
もう、こんな光景が15分以上。
いい加減、ちゃんも言葉ではあぁ言ってるけど諦めの表情になってきてる。
このチャンスを逃すまいと、俺は懸命にちゃんにお願いする。
「ちゃ〜〜〜〜〜〜〜〜ん」
「...分かったって」
聞こえるか聞こえないかくらいの声が耳に届いて、ちゃんはポケットから鍵を出して俺の手のひらにのせてくれた。
「先行ってて」
それは、ちゃんちの家のカギ。
俺たちは、恋愛感情なしの。
セックスフレンド。
俺はいつもどおり、ちゃんちのちゃんの部屋でちゃんを待つ。
ちゃんは、弓道部。
テニス部の俺より、練習は長くていつもちゃんは身体に傷をつけて帰ってくる。
『今日も弓ですっちゃってさ』なんて豪快に笑いながら、身体についた傷をみせてくれる。
だから、俺はちゃんの傷をいつも舐めてあげる。
『ちゃんはおっぱいがおっきいからすき』
ヤった後、そう言うといつも『千石はいつもそればっか』って言う。
でも、実際にちゃんのおっぱいは気持ちいい。
だから、片手一杯のセックスフレンドの中でもちゃんは特別。
ちゃんとヤってるといろいろ忘れられるしスッゲ−気持ちよくなれる。
最高。
ちゃんは、俺にとって恋愛感情なしのサイコーの相手。
だから、気付かなかった。
分からなかった。
ちゃんが、俺にとってどんなに大事な相手か。
ちゃんに再びおねだりしたその日。
伴爺に呼び出されて俺は、ちゃんちにいくのがち?と遅れた。
そしたら、二階の職員室の窓からちゃんの姿がみえた。
・・・中庭。
しかも、大勢の女のコと一緒。
なんにも考えずに、ちゃんのところに向かった。
ちゃん、ショートカットだし男っぽいし。
顔だちキリリだし、美人さんだし。
女のコにもモテるんだろうな〜〜〜〜〜〜くらいにしか思わなかった。
でも、覗いたその場所は、そんな雰囲気なんかじゃなくて。
「千石くんに近寄んないでよ」とか「ヤリマン」とか言われてた。
唖然とした。
俺をよく追っかけてるコで。
俺の前では可愛く振舞って笑顔絶やさないコだったのに。
今の形相はヤバいくらい怖い。
俺はちゃんの味方をしようと前のめリになった。
「じゃぁ、あんたたちもすれば?千石に家のカギ渡して『きてくださいv』とか言えば来てくれんじゃない」
ちゃんのその言葉に、誰かがキレたようで鈍い音と低い罵りが聞こえた。
俺は、そのときはじめてちゃんのことを守りたいって思った。
いままでつけてきた傷はきっと、全部こういうことのせいでやられたんだって悟ったから。
先回りして、ちゃんの家でちゃんをずっとまった。
ちゃんは、何気ない素振りでその五分後、帰ってきた。
俺は、ちゃんにさっそく伝えた。
「ちゃん。俺と付き合って」
眼をまんまるに開いたちゃんは、脳の働きを取り戻すと一笑にふした。
「何言ってんの、千石。頭でも狂った?」
ものの三分で、断られた。
セックスフレンドは片手一杯。
でも、彼女はいない。
知らなかったんだよ。
ごめんってば。
それだけじゃすまされない世界だって知るのが遅かったんだ。
でも、もう分かったから君の世界も俺の世界も。
だから、俺は諦めず君にアタックし続けるよ。
だって、俺は君がすき。
後書き
いきなり、ショッキングなネタ。
千石女のコすきってかいてあったからめんどくさそうな関係はキライだと思ってセックスフレンド。
これ、ちなみにヒロイン視点もあり。
これだけじゃ意味わかんねーよってカンジだしね。
2002.10.11