こんな感情が芽生えることくらい、おかしいと分かっている。
サイボーグになって、彼女にあうまでは残骸の記憶さえ、消してしまいたいほどだったのに。
人間のときの思いがうずくのか、彼女をみるたびにたまらない愛おしさがこみあげてくる。
なくした全てをうめつくすほどの気持ち。
全て捨てた過去を脳の片隅が呼び起こす。
M.O.M.O.
お前が残した、親に愛された記憶。
それが俺の感情を乱していく。
なくした記憶。
任務を受けて救出した少女は、全てのレアリエンの一番はじめの意味を持っていて。
小さい頃になくなって、レアリエンになった彼女はなくなる間際のままの幼い体型で。
人間の年に換算したら大体五歳くらいだろうか、俺をみて笑いかけた。
「お名前は、なんていうんですか?」
「ジギーだ」
ひとことだけの答えに彼女は、また微笑んで大きな目でみつめてきた。
「ジギーさんですね、よろしくお願いします」
M.O.M.O.を送り届ける任務が終わったら、脳にはびこる残骸の記憶をすべてきれいさっぱり消してしまうつもりだったのに。
なのに、その部分が激しくうずきだす。
人間であったころの記憶。
大事なものがいたころの記憶。
重なってだぶって、レアリエンでいたいから、なにも考えたくないから、みたくないから、なくしてしまいたい記憶なのに。
頭の、脳の中枢を刺激する。
「ジギーさん、いいことすればきっと人間になれますよね」
M.O.M.O.が嬉しそうに聴いてくる言葉。
答えはNO。
そんなのいたいくらい分かってるのに、気がつくと反対のことを言ってる。
「あぁ、そうだな」
それが、痛いくらい無理なんだってわかってるはずじゃないか。
どんなに法律が認めたって、所詮機械入りの合成人間にすぎないのに。
人間のように、自然な死を迎えることは不可能だって知ってるのに。
言えない。
守ってやりたいと、どこまでも一緒にいてやらなければならないと、脳の中枢が悲鳴をあげている。
人間になることも、お嫁さんになることも叶えさせてあげたい。
忘れかけた記憶。
なにかを必死で守りたいと思う、頭に残る残骸の記憶に植え付けた。
後書き
なにがいいたかったのか、わからなくなりました。
つーかMOMOドリームじゃなくて、ジギードリームになってるやん。
しかも、小娘MOMOちゃんを救うジギーのシーンみてないからこれ完全オリジナル。
つーか、MOMOかわいいよねv
またひまがあれば書きます。
次は、KOS-MOSちゃんとか書きたいな。
2002.03.06