The Zodiac Brave Story  獅子戦争勃発前夜 前編






降りしきる雨のなか、数名の戦士たちがオーボンヌ修道院の前にたっていた。

王女、を護衛する為だ。

そのは修道院の中でイヴァリースの平和を祈っていた。
横には長年ずっと支え続けてくれたシモン神父、そして元老院が派遣した女騎士アキラがひかえている。

様、そろそろ出発いたしましょう」
アキラは押し迫る時間と、不穏な空気のために急いで出立しようとしていた。
しかし、は祈りを続けたままアキラに言った。

「もうちょっと待って...アキラ」

アキラはその様子を仕方ないと思いながらもハッパをかける。

「すでに護衛隊は到着しているのです」

りりしい声が聖堂に響く。

そのマイペースなのようすに、シモン神父も見兼ねて声をかけた。

「媛様、アキラ殿を困らせてはなりませぬ。さ、お急ぎを...」



と、外で待っていた護衛隊が我慢し切れず入ってきた。
いかにも強そうな剣士、そのあとに新米剣士がふたりほど続く。


「まだかよ。もう小一時間にもなるンだぞ!」

剣士は苛立ちを隠そうともせず、声を荒げた。

アキラはそれを戒める。

「無礼であろう、ナルミ殿。王女の御前ぞ」

その言葉に、慌ててナルミ以下剣士達はひざまづく。

「これでいいか。アキラさんよ...こちらとしては一刻を争うンだ」

そのナルミは、態度もさることながら言葉も粗暴であった。
後ろに控えている剣士達のほうがよほど礼儀をわきまえている。

アキラは皮肉のようにつぶやいてみせた。

「誇り高き北天騎士団にも貴公のように失敬な輩がいるのだな」

アキラにしてみれば、王女の御前。
ナルミの態度は人並みはずれたものにみえた。

対するナルミも負けてはいない。

「辺境の護衛隊長殿には十分すぎるほど紳士的なつもりだがね...。それに俺達は北天騎士団に雇われた傭兵だ。あんたに礼を尽くす義理は無いンだ」

皮肉を皮肉で返すナルミの態度にアキラはすぐさま反応する。

「なんだと!無礼な口を!」


そのころになって、やっとが立ち上がった。
シモン神父に別れを告げ、出立しようとした、そのとき。

外をはっていたアキラの部下の女騎士が聖堂になだれ込んできた。

身体には手痛い傷を負っている。

「アキラ様ッ!て...敵がッ!!」

一番に反応したのはアキラだった。

すぐさま聖堂のドアを開き、外に出ていった。
シモン神父は、その騎士の傷を見ながら、騎士を問いただした。

「キリハラの手の者かッ!?」

ナルミは心配するでもなく、逆にこの状況を楽しんでいるようなそぶりさえみせている。
しかし、ひややかな視線に気付いたのかナルミはその視線の主に向かって言葉を発した。

「なンだ、お前も文句あるのか」

声をかけられた剣士は、醒めたように言う。

「僕はもう騎士団の一員じゃない。あなたと同じように傭兵の一人だ」

その剣士は傭兵にしては言葉や仕草が整っている。
しかし、ナルミはその言葉に納得したのか敵を倒す為に剣士を従えると外に向かった。

「神よ...イヴァリースをお守り下さい...」

の、祈る声だけが室内に残り、響いた。







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