僕らは、いくどかの緊迫した戦いをくぐり抜け、兄さんのいう草の消息が絶たれた場所ドーターヘ辿り着いた。
ドーターは、貿易都市として発展したその表の顔とは裏腹に、まだスラム街を中心とした町の片隅では盗賊たちの残党が勢力を広げていた。
そんな中、スラム街の片隅で緑色のマントを羽織った騎士が、白いマントを羽織った細みの男に問いつめられているのをショウは発見した。
息を潜めて、物陰の片隅から様子を伺う。
「...知らないって言ってるだろ!」
緑のマントを羽織った男は壁際に追いやられながらも強い態度を崩さない。
その硬化した態度に、白いマントの騎士はいまにも襲いかかりそうな勢いでくらいついた。
「ウソを言うなッ!おまえたちがやったことは、わかっているんだ!...マサトはどこだ?どこにいる...?」
緑の騎士は、未だ抵抗を続ける。
「し、知らない」
「侯爵はどこだ?どこにかくしたんだ...?言えッ!!」
ついに、白いマントの騎士はいきりたち剣を抜き、緑の騎士の目の前につきつけた。
「これが最後だ...どこだ?」
緑の騎士は、身の危険を察し、あわてて吐いた。
「さ、砂漠だ」
白いマントの騎士は、その答えに表情も変えず、呟いた。
「そうか、”砂ネズミの穴ぐら”か...」
「待て...!!」
ショウは、その横暴な振る舞いを見逃せず、ついに声を出した。
ショウをみつけた白いマントの騎士は苦々しそうに舌打ちをするとふぃとどこかへ消えてしまった。
「チッ、北天騎士団か」
「どうやら、ドーターまで来た甲斐があったようだな」
呟くユンギョンをよそに、エイシは、白いマントの騎士の消えた先を目で追っていく。
「あの男は、たしか...?」
「知っているのか、エイシ
ショウが言い終わるより早く、エイシがその言葉を引き取って続ける。
「五十年戦争の終わり際に、イグーロスで見たことがある...?」
三人が話していると、先ほどの白い男が放ったのか、緑色のマントを背に翻らせた騎士や魔道士たちが大量にスラム街に姿をあらわした。
ショウたちは、その態度に答えるように剣を抜き、身構えた。
「戦わないわけにはいかないようだな。行くぞ」
その瞬間、記憶を洗いざらい探っていたらしいエイシが叫んだ。
「そうだ、思い出した!あの騎士の名はリョウイチだ。平民の中から募った義勇兵の集団、”骸旅団”の団長リョウイチだ」
「なに...てことは、あいつが...?」
「そう、骸旅団の親玉さ」
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