獣王五箇条。




その日、スロット専門店Bは、開店前から人だかりが出来ていた。
B店の外に吊るされた垂れ幕に大きく書かれた『獣王大復活!!』の言葉のためであろう、下には特典としてゴールドカード贈呈と書いてある。

『ここのゴールドカードスゲーらしいぞーーーーーーーーーー』

B店の南の入り口からは人びとの特典を絶賛する声と一ヶ月前の出来事について話あう声しか聞こえてこない。

そう一ヶ月前、サミーの機種技コピー騒動のためにパチンコ店は苦しい状況をしいられていた。
特に被害の激しかったハードボイルド、猫で小判をはじめ、サミーの機械がたいてい電源を落とされ稼動しなくなっていたのだった。
もちろん獣王もその対象となっていた、爆発すれば万枚は確実と言われている台だけに、店側もコピーをされたらその損害ははかりしれない。
店がわは対策をしたあと、速急にイベントを開く必要性があった。

『期間限定1ヶ月の間 七回 設定6打てるらしいぞ』

『マジかよー』

『しかし200台も入れて巻き返しをはかるとは1ヶ月前じゃありえん話だぜ』

『車買えんぜ、それよー』

もちろんその中には王子と名乗る三上や、パチスロアイドルのツバサ、やはりオカシを大量に手に持ったユンギュンや浪人してまでスロットをしているスギハラの姿もあった。

ツバサは入り口を凝視しながら不敵な笑みを浮かべる。

「いつもはトップとかどうでもいいけど...今回ばかりは狙ってんぜ...」

その言葉に杉原も彼なりに気合いの入った言葉を発する。

「ゴールドカード...これ手に入れちゃったらどうしようかなぁ。浪人しちゃうよ、また。クスクスクス」

「チョコフレークってさーーーーーーーもっとさーいろんな種類があってもいいよねェ」

いっぽうこちらは一人だけ気負いがないようにみえる、ユンギュン。
あいかあわらず、大好きなオカシの話ばかりしている。

しかし、そんななかアクの強い彼らを押さえ付けるようにして、王子、三上が不敵に笑った。