「あいしてる」なんて言えなかったよ。
だって、あたしたちは
あたしたちは
期限付きの恋人。
.01
「今日で二ヶ月だね」
冷めた声で告げた言葉に、跡部の指先はぴくり動いて触れるのをやめてしまった。
静かな時があたしたちを包む。
かわりに降ってきたのは、あいづち。
淡々としたもの、そうだよね。
だって契約だもんね。
あたしたちは。
それ以下でもそれ以上でもそれ以外でもない。
二ヶ月だけのこいびと。
「じゃぁ、あたしの役目も終わりだね!お幸せに、跡部グループの御曹司さん」
ベットからするりと抜け出てわずかながらに表情を動かす。
笑顔をつくってみせて、敬礼のポーズ。
ベットの中でうずもれた跡部はそんなあたしに何も言わなかった。
表情が少しゆがんだようにみえたけど静かなままだった。
「...番号、消すね。彩葉さんに悪いから」
ケータイを取り出して、またも愛想笑いをする。
しゃべる声だけが部屋をながれていく。
あたし、ひとりの声。
じゃあ、と、はぎれの悪いさよならを残してホテルの部屋を出る。
終止符を。
二ヶ月を、終わらせた。
目の前に、白いフィルターがかかった。
△/▽
追記**
自転車に乗りながらずっと考えていた跡部シリアス物。
どっかにありそうなネタだなぁ。
image song t.A.T.u.『STARS』
up date:2003.06.07