白銀と栄華の破壊



タイムゲートの光にあおられ、乗り馴れてるはずのゲートに違和感を感じた。

行きつく先がどこか分からなくても...サラに続く道だってことは分かる。

どんな道も全ては1本になるんだって…。
誰の言葉か、忘れてしまって覚えていない...。

でも、今はこの言葉がすごく頼りになる。

光の眩しさで、瞳を開ける。

着いたさきは、古の文明『魔法王国ジール』...。

少年の故郷である...。

朽ち果てた、その古の世界は...白の雪で覆われている。

白の...白銀の世界の中で、少年の辛く悲しい息が紡がれる。

振動となって震える息。

白銀の世界で、たったひとり寒さも気にせず、まっすぐ前を見つめる。

滅亡した王国ーーーーーー。

滅亡の理由は...思い出せば出すほど、心に言い表せぬ感情が溢れる。

サラヲ...サラヲ、コロシタクニ...。

たったひとつの赤い石によって滅んだ国。

タッタヒトツノイシノカケラデ、コロサレタ...ウシナワレタ…サラ。

残す影など、栄華の影など...全て吹き飛んでしまえ。

サラを殺した世界など、消えてしまえ!!

心のざわめきが、意思となって紡がれる。

蘇る、怒りの声ーーーーーーーーーーー。

怒りの音色...。

『光よ!!紡がれし声色に耳を傾けるがよい!!
怒りは大地に裁きを求め、その結果は紡がれし全ての記憶も消し去るであろう!!
シャイニング!!』

紡がれた声。

怒りに任せて、紡がれたその魔法。

栄華を極めた、その王国。

ならば、光で消しさってやるのが一番!!

全てを、無に変えてしまえ。

サラのいない、古など存在するに値しない。

光の線が、怒りの言葉でその威力を増す。

焼き尽くされた、白銀の世界。

残ったのは、冷えた海と...。

タイムゲートと少年...。

何処に繋がっていようと...そこがサラに続く道には違いないのだから…。




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2001.02.18