灰色な『未来』...破滅への...



光のゲートを抜け、時空を超える。
今までに何回も超えてきたあの道。
繋がるのが恐いと思ったことは、ない。
赤茶けた大地に...灰色の道路が走る。
いわゆる『未来』だ。
栄華に満ちたその『未来』が、無惨な姿をさらす。
灰色の『未来』の象徴の『道路』は寸断され、悲しみの音だけが、支配している。
否、懺悔の音だろうか。
『未来』を壊してしまったことへの...。

白が濁った居住区、破壊された夢。

『未来に夢を託してるんだ』

馬鹿馬鹿しい。
『未来』は、結局「こんな世界でした」って、どんなに救ったって。
どんなに頑張ったって。
生きてる人間が、立ち上がる力を持たなけりゃ『未来』なんて『死んだ』も同然だ。
こんな奴らを救うくらいなら、もっと救わなきゃいけない、サラを。
サラヲ...。

こんな奴らのためにサラは、命を失ったのか?
やる気も見られない、生気がない。
こんな奴らの為にーーー?

「壊してやる」
壊されたって...立ち直る気がないんだったらこんな世界、必要無い。
サラが救った奴らーーーーーー。
サラが救った世界を、返してもらう。

紫の髪が、吹いてきた風に揺れる。
生暖かい風。
すべてが気持ち悪い。
少年は、息を吸うと静かに言葉を繋ぐ。

『宇宙に絶えまなく広がる無よ!!限り無く近い無の世界よ!!壊れた栄華を更に呑み尽くせ!!涙さえも全て吸い込んで無の世界を限り無いものに!!ブラックホール!!』

紡がれた声。
突然、無の世界が広がって。
絶望が、支配する。
灰色の世界が。
象徴の『道路』が、吸い込まれる。
海面に沈んでいた、忌々しき『黒の夢』も吸い込まれる。

悲鳴さえも聴こえない。
吸い込まれてゆく世界。
その無の世界を背に、少年は再び歩みをすすめる。
「次は、何処へ導いてくれるんだ?」
瞳の先にある、光を見つめる。
光は何も言わずに、ただ冷ややかに輝いている。
「そうか...では、行こう」
紫は、光の中に消える。
時空の枠をくぐり抜け、紡がれし世界に出会うために........。














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2001.11.13