学校親睦交換在籍。02/クラス











着替えを終えたわたしとはそのまま跡部くんたちテニス部のレギュラーメンバーに連れられて人気の多い廊下を歩いていた。



刺さるような視線、振り返る生徒たち...は、しょうがないとしても。
(たぶん、わたしとが物珍しいんだろうし...)
なんかそれだけじゃ納得できないような...人が避けてってるような気がする。
(しかも廊下の真ん中堂々と通ってるのに)

そんななか、ふいにわたしの耳に二、三人の女のコたちの声が届いた。
大きくも小さくもないその声は、明らかな敵意を含みわたしとをにらみつけている。

「ちょっと!なにあの二人?」
「なんで、テニス部レギュラーに囲まれてるわけ?」
「っていうかあの女、芥川さんと手つないでない?」
「ウソー何様のつもり!?」
「ムカツク-」


わたしは思わず、先ほどからぎゅっと握られたままの芥川くんの手を離そうとしてしまった。
その瞬間、芥川くんが頬をふくらませてわたしをみつめる。

〜〜、なんで離そうとかするの    !!」

そのおっきな声に先ほどの女のコたちが再び敵意の視線を投げてよこす。
殺伐とした雰囲気に、芥川くんにどう説明したらいいかを考えあぐねていると後ろを歩いていた忍足くんがひょいとわたしと芥川くんの間に顔を出して意見してくれた。(忍足くんありがとう)

「ジロー、お前の気持ちも分かるけどな、ちゃんまだ氷帝に慣れてへんのやからそういうことしたらまずいやろ、離したり」

「え〜〜〜〜〜〜〜〜なんで?だってと手繋ぎたいのに、俺」


渋る芥川くんに忍足くんは再度言い聞かせる。
まるでお父さんみたいだ。

「ジロー、跡部だって我慢してんのや。お前かてちょっとは我慢しんと」

その言葉にやっと芥川くんは「じゃー、ちょっとだけ我慢する」と手を離してくれた。
(芥川くんの中では跡部くんが物ごとを推し量る材料なのね)

「でも、。部活行くときは手繋ごうね」

わたしはそのあっけらかんとした態度に思わず笑ってしまった。
前に跡部くんが、芥川くんは直感行動型って言ったけど、まさにその通りな人だ。

なんだか五歳くらいの子供みたいで一緒にいて飽きない。
(亮とはまた違った魅力かな。そりゃ、こんなおおっぴらに好意示されるとちょっと困ったりもするけど、どう考えても大きい子供って感じは取り払えない)

「うん、いいよ」

、絶対だからね」

何度も顔を覗き込んで確認してくる芥川くんにわたしはうなづいて微笑み返す。
かわいいなぁ、なんか芥川くんて藤代くんみたい。

ふいに武蔵森の人懐っこい年下くんを思い出してなんだか懐かしくなった。
まだ氷帝に来て半日もたってないのにこんな風に思うなんてわたし変かな。
それともだんだんこの雰囲気になれてきたってことなのかな。



考え深げに浸ってると、跡部くんの低い声が耳に届いた。
いつの間にか、皆の足はひとつのクラスの前で止まっている。

「着いたぜ、。ここがお前たちのクラスだ」

閉め切られたドアを開けて跡部くんがずかずかと教室に入っていく。
それに続く不満顔のとわたし、そしてテニス部レギュラーさんたち。
とたんに、それまで扉の外まで聞こえるくらいの騒ぎだったのが水を打ったように静かになった。

視線がさっきと同じように集中して向けられる。


息を飲むくらいの静けさの中を跡部くんは実に優雅になんともなしに進んでいって、ちょうど四つ空いた窓側の一番後ろの席に腰かけた。

そしてぼーっと立ったままのわたしとに顎で示す。

は俺の隣、はその前。隣はジローだ」


わたしはとりあえず立ってるのも変なので、言われた通りに跡部くんのひとつ手前の席の椅子を引いてそこに座った。
わたしに寄り添う形でずっと隣にいてくれた芥川くんも「、となりだよー!俺、寝ないで頑張るね」などと意味の分からない抱負をのべて席に着く。
(まだそのときは彼が三年寝たろうなんて呼ばれてることすらわたしは知らなかった)

立っているのは、別のクラスの他レギュラーさんたちとだけになった。
なかなか座らないに、跡部くんがイライラしたようにたたみかける。

「オラ、。いつまでもそんな顔してんじゃねぇ。さっさと座れ」

そんな跡部くんの物言いに、不満顔だったの表情がみてとれるほど変わっていった。
それは、大袈裟に例えれば般若に近くて。
(もちろん、同じ顔のわたしがあんまり怒らないようにしようと心に誓ったことは言うまでもないけど)
そのあまりのギャップにことの成りゆきを見守っていた、忍足くんをはじめとするレギュラーさんたちもさりげなく後退をはじめている。
のこと分かってるんだなぁと妙に感心しながら、わたしはちょっとだけ姉として情けなくなった。
普段は比較的高いの声が、地を這うような低い音を他人ばかりのクラス中にまきちらかす。

「跡部さぁ、さっきからなんなの?なんであんたの言うことばっか聞かなきゃいけないわけ?」

どう考えてもケンカを売ってるととれる口調のを、諌めようと言葉を紡いだ。
(だって、たぶん今回の交換在籍中跡部くんにはむかったら生きて帰れない)

、とりあえず座ってからにしようよ。跡部くんたぶん先生からわたしたちのこと頼まれてるんだよ」

そうだよね?跡部くん。と仲介を試みるわたしに跡部くんはうざったそうにをみあげたまま何も言ってくれない。
同じくらい不機嫌を顔に浮かべたは、椅子をひいて渋々ながら座ってくれた。
ただ、その視線はとなりの跡部くんを睨み付けたまま動こうとしない。

一色触発の緊張がクラス中を包む。
誰も声すら出さない。
わたしは心の中で今日からのクラスメイトたちに平謝りした。
(ごめんね、みんな。いきなり初日から迷惑かけて)

そんなときやっと跡部くんが口を開いて淡々とした口調で告げた。

「俺は今日から三週間お前とのこと任されてんだよ、全部な」

もちろん、それに対してはあからさまに嫌そうな顔をしたけど、たてつくことはしなかった。
そうしてやっと、波瀾ばかりの学校生活が幕を開けた。
































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追記**



ビミョー過ぎる、第二回目。
今回も血の気が多いですが、それに対して跡部は意外に冷静にあしらっています。
というのも教室では人目があるから。
彼は激しくブチ切れたとき以外はあまり物事に波風たてたくない主義南田と思うんですね。
きっと学校内ではいいコなんですよ、思いっきり。
そして、そんな猫っかぶり跡部よりも手におえないのが朔氷ちゃんにアプローチを繰り返す幼稚園児のジローちゃん。
彼はもうほんとすれすれぐらいにちゃんにアタックを繰り返します。
あぁ、書いてて楽しい。




up date2003.07.14