これが、オレのキモチなんだと


『スキ』なんだとアイツに伝わるでしょうか?













endless future.05










それから、一週間。


時は残酷にオレたちの歯車を噛み合わせないまま進んでいった。


オレは、オレの指定席、いたかった場所を、樺地にとりあえず預けて不安定さを残したまま日々を過ごしていた。


のことは伊織が話してくれた。


オレを怖がっていること。
時々オレの名前を呼ぶこと。
ハッとして目を伏せること。
泣きそうな顔をすること。


それだけで心が痛いのに、神様がイタヅラ心をおこしてオレとをふたりっきりにした。


ホントウにぐうぜんに。
はちあわせ。
部室の、氷帝運動部の中ではトップクラスに広いその部室の空気が、の体のふるえに重なって揺れる。


怖がらせたいわけじゃないのに。



ただ一緒にいたかっただけだったのに。
あの日から出来た距離はにここまでさせてしまった。
口唇をきゅっと噛み締めてに声をかけた。
つとめて明るく、オレらしく。
動揺を悟られてはいけない。



?伊織のこと待ってんのか?」


声に驚いてはまたふるえた。

マイナスイオンとプラスイオンがぶつかる。


「う...うん...景吾...ちゃんは...?」

みつめる瞳がおびえている。
警戒されてる。







タオルとりに。






つぶやいたはずなのに、オレとの間には三メートル以上あるのに。

ふみだした一歩に、その一歩に、はびくっと体を揺らせて過敏に反応した。


オレがお手上げになるくらい。


「........や...........」


瞳にうっすら透明のマクがみえる。


「...オレのこと怖いかよ?」


なんてありきたり、でも、せいいっぱい。


ホントは逃げ出したかった。
あの日からやり直したかった。

答えを聞くのも怖かった。



「ちが...ちがうよ、景吾ちゃん...」



消え入るような声の、それはでも否定でもなくこうてい。


瞬間、全ての仮面がくずれおちたと思う。
はがれ落ちたと思う。
隠してきたかったオレ自身なのに。

気付けば、声は荒がりオレは全てを吐き出していた。

15年分の重荷をとり去るように。

止められない。
もう誰にも止められない。
とめる術を持たないんだ、誰も。


もちろん、それはをおびえさせるだけで身勝手な自己満足でしかないのだけれど。



「ウソつくなよ。おびえてんだろ?こわいんだろ、オレが。だから、お前はオレから逃げんだろ、

逃げ場をなくして追い詰める。

でも、おいつめられているのは、でなくオレの方だ。
きっと。


こたえがこわいんだ。

真実が怖いんだ。




叩き付けた感のある壁から、おしつけていた左手を。



のほおに



そえる。

しせんなんてかんけいなかった。



オレはそうするしかなかったんだ。


なかったはず、なんだ。














くちびるがに重なる。







時が   止まった














/



追記**


跡部、にキス。
なんというか、この回はまじで書きにくかった。
かなり苦労したし、半分どうしたらいいかもわかんなくなったしね。
かなり迷走したけど、多分もう安定するよ。



image song  globe 『DEPARTURES』


up date:2003.01.17