ソラは、どんどん広がっていくばかり。













endless future.06










気づかってなんてやれるわけなかった。

浸る時間さえもなかった。


だって、そのときのオレは。



にたいするどうしようもない気持ちだけでできてたから。
存在してたから。
動いてたから。


重ねた口唇の熱さや気持ちやその他もろもろ全部なにも頭に響かなくて。
考えられなくて。
入ってこなくて。
聞こえなくて。


分かったのは、開いた瞳に飛び込んできたのは。

ずずっ...と、鈍い音をたてて床にしゃがみこんだの姿だけで。

かといって、キスをしたのはオレなのに。、

手を差し伸べることなんてできなかった。







きびすをかえして、に向けた背中。


ほんとうは、が心配で心配でどうしようもなかったけど。

後悔はしてるけど、たしかに。


でも、そのキスはオレの気持ちだから、ウソでもなんでもなくオレの。

オレの真実だから。







部室から足早に出て、コートのとなりで向日をしかりつけてた伊織に声をかける。

「伊織」

伊織は話を中断させたのか、すぐにかけよってくるとオレに、視線をぶつけてきた。



「どうかしたの、跡部」


驚きの混じった声が降ってくるところを見ると、オレはよっぽど変な顔をしてるんだろう。

その視線に耐えられなくて瞳を伏せて、たった一言だけ伝える。


「部室にいるから行ってやってくれ。で、多分帰らなきゃマズいと思うから今日はあがっていい」

伊織が驚いて、オレの顔を再度のぞきこんだ。

「え?は...うん...とりあえず行ってくるよ」

そして伊織はそのまま戻ってこなかった。














頭に過ったのは。






の。





しゃがみ込んだ背中。




しゃくりあげる声。


















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追記**


一話ばかり早く進んでいます。
前回次からは平気とか嘘つきました。
無理でした。
後半変だよ、あたしの文才なし!




image song  globe 『DEPARTURES』


up date:2003.01.30