しあわせ なんて そんなの...。











of itself...03












「南ちゃ〜〜〜〜〜ん、きてきて〜〜〜〜〜〜〜」


いつも気分がころころ変わる千石が、そのときは異常なテンションで話しかけてきて。
やけに笑顔で。



オレは、それを上手くかわすことが出来ずに運悪くつかまってしまって、だから。


だから、キミと出逢ってしまったんだ。

こんなことになるなら、はじめから知らないほうが良かったって後悔は後の祭りで。



千石にずるずるとひっぱってつれてかれた場所にいたのは、あの桜の少女で。
ずっと恋い焦がれてた彼女で。
だけど、名前も何も知らない少女で。

ホントは、みた瞬間から気付いてたけど。
あの時のコだって分かってたけど。
でも、千石と彼女の間の空気に気付いてたから、なにも言えなくなった。
言い出せなかった。

『あのとき、あったよね?』なんて。

「オレのカノジョのちゃん。かわいいしょ?」ってぼーっとした頭の中に何度も何度も千石の声が反響した。


あぁ、かわいいよ。
かわいいって思うよ。

だって、オレもすきなんだ。


それまで、千石をみつけていた瞳がオレをみて笑ったから。
微笑んだから。
言いたかった言葉、言いかけた言葉、思う気持ちのみこんで、あいまいにうなづいて返すしかなかった。

「南ちゃんも仲良くしてね〜〜〜〜〜〜〜〜、オレの大事なちゃんなんだから」

何も知らない千石、至極楽しげにおちゃらけて言って。

オレの気持ちなんか知らないからって。












(...言ってないけどさ、けど、けど......)












オレは、ずっと彼女がスキだったんだ。


はオレのことなんて眼中にないだろうけど、オレンジのアイツ、千石が好きなの、夢中なの一目瞭然だけど、でも。


オレのほうが、絶対。














/



追記**


南の言うこと、そんなの自分勝手だけど片思いってこういううものだよね。
あぁ、千石のおちゃらけっぷりが痛い。




image song Lyrico『キセキノハナ』


up date:2002.12.13