笑っていてほしいだけ、なんて、ほんとはウソなのよ。
傍にいたかったの、手に入れたかったの。
ほんとは、頼って欲しかったんだ。
prayer.03
その声は、威圧的にとても低く響いた。
あたしの心の奥まで。
「はっ、なんでだよ!」
アイツは、試合で負けたんだぜ?てめーが悪りぃんだろうが。と、アイツ、跡部は吐き捨てた。
そんなの、分かってるよ。
のみくだすことでこらえた言葉。
説得もへったくれもない。
かわりに口唇から溢れ出たのは、ただ嘆願のセリフ。
「跡部、おねがい」
誰かに、こんな姿をみせるのもお願いをするのも亮ががんばれるなら大丈夫だった、平気だった。
言葉に反応して顔が笑ったのをみていたとしても、嫌な悪寒があったとしても、あたしは。
あたしはきっと、その言葉をふりきることも、さえぎることもできなかったはずだ。
だって、思い浮かべれば亮の顔が笑っていたから。
「そうだな...じゃ、こうしようぜ」
ふいにかくれた太陽。
宇宙の造りとか流れとかそんなの全然わかんなくて、ただ。
跡部の、ただアイツの声だけが耳に届いた。
「俺と一晩一緒にいろよ」
みひらいた瞳、あげた顔がアイツの笑顔にであうのは、当然だった。
言ってる意味分かるだろ。と訴える冷たい瞳。
あたしは、ふるえるのどで精一杯空気を吸い込んだ。
「...跡部...」
いつのまにか、ゆらいだ太陽が照りつけて、アイツの笑みを際だたせている。
「別に一度くらいいいじゃねぇか、犬に噛まれたと思ってればいーだろ」
冷たい目、あたしは新しいアンタのオモチャって、ことなんでしょ。
にらみつけた視線に、アイツは、ヘラヘラ笑って吐いた。
「イヤならいーんだぜ、俺は別に。ただ、宍戸はレギュラーに戻れない、それだけだ」
あたしは、ただ口唇をかんでうなづくしかできなかった。
△/▽
追記**
跡部とヒロインの話し合い。
宍戸のしの字もでてきません。
でも、宍戸中心ですよ。
勢いあまったlenさんは宍戸をかくわけです。
あはんv
image song globe 『seize the light』
up date:2002.11.19