全ては、あのあやまちのせいなのだと。

そう思うけど、でも。

それでも、あたしの心は満たされていて。










prayer.05














約束どおり、その一晩の監獄から抜け出て家路についた。
朝の日差しの、鳥のさえずりと一緒に目の前を漂っている霧をかきわけてやってきたのは、亮。

...きっと、ロードワークの途中。

察した瞬間、それまで満たされていた心が一気に落下していった。
ずん!と重い音をたてて。

「なんだ、じゃねーか。朝帰りなんておばさんたち心配すんぞ、早く帰ってやれよ」

あたしの姿に気付いたのか、亮が足をとめてニヤッと笑った。

いつもなら、バカ亮!とか、うるさい!とか言えるのに、もうそんな元気すら残ってなくて充ちたりてた心はバラバラに崩壊して。



ただ、みじめで不安で押しつぶされそうで。


亮に言える言葉は、伝えられる気持ちは、それしか、なかった。






「ごめん...亮」


つぶやきほどの小声に亮が反応出来ない間に、走って五軒さきの、のきさきをくぐった。



なにを期待していたんだろう。

もう、残されていたのは跡部と関係を持った真実と。
亮を想う気持ちだけなのに。

みたされた気持ちを押し流されて、ただ泣くしかできなかった。


亮が試合にでれたら、あの日々がまた戻ってくると信じてた。

信じたかった。




甘い甘い幻想と、夢を。

みたかった、みていたかった。


それだけ、なのに。

















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追記**


2テンポほど展開遅れてます。
プロットでは、かなりヤバいことになってるのに!
しょせんバカってことですよ。マル。





image song  globe 『seize the light』


up date:2002.11.21