ねぇ、あたしはさまよえる祈り人。











prayer.06
















どんなも物事も、いつも都合良く進まないものだって言葉の上では分かってた。


きっと亮にとっては、さして興味もないこと。


ただの世間話程度。なのに、あたしの反応は、亮の思うその対比じゃない。



ねぇ、あたしは跡部のもの、ですか。




あなたのなかでは、そうなっているのですか。



「よぅ、。昨日、跡部と一緒にいたんだって?」


休み時間のろうか、後ろから呼び止められて、振り向きざま投げ付けられた言葉。

亮からの、悪意のないおくりもの。

だけど、だけどあたしは。

その一言に、その言葉に目の前が暗くなった。


言葉の意味するところは、あたしの想ってるようなことじゃないのかも知れない。

でも、あの女ぐせの悪い跡部のこと、理解してる亮だもん。
一緒にいた仲だもん。

朝帰りをしたあたしとあってしまった亮だもん。



あの日、夜、あたしと跡部のあいだにあったことなんてきっと簡単に答えが出せる。

ううん、でてる。

そして、それを亮本人も分かってるはずだ。


邪推なんかじゃない。って。
真実でそれが全て。だって。


だから、あたしはごまかすこともウソをつくこともできない。

うなづいて笑うことしか出来ない。


「うん、景吾といたよ」


ヘドが出るような言葉。
景吾なんて呼ぶって思ってなかったのに。
呼びたくないのに。


ねぇ、亮。

あたしが呼びたいのはあなたの名前なの。
世界でたったひとり、宍戸 亮って人の名前なの。


ねぇ、助けて。
おぼれかけたあたしを助けて。

声にできないけど、分かってよ...。




何を話したのか、記憶にすら残ってない。

早々と亮の前から逃げて、あたしはたったひとり頼る人のところにいった。


二度と接触しないって思ってたのに。
誓ったのに。
あんな奴って思ってたのに。
思ってるのに。
決めてるのに。



もう、あたしどこにも行くところがないよ...。


「...跡部」


あたしをそばにおいて...。

















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追記**



ヒロイン、跡部のところに。
もう、それ以外はノーコメント。




image song  globe 『seize the light』


up date:2002.11.22