忘れることなんて できるわけねぇのに。
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ひどい有り様だったんだろうよ。
いつもだってけっこう激しい練習メニューなのに、それをたえてきたあいつらが三日で音をあげるんだもんな。
そりゃあ地獄絵図とみまちがうばっかだっただろうよ(作った俺がどうこういう権利はねぇけど)
けどな、俺はそうでもしないといられなかったんだ。
自分を保つことができなかったんだ。
殺人的メニューで躯を痛めないとおいつめないと、眠れなかったんだ。
の顔ばっかがチラついて。
もちろん、あーなるのは最初から分かってた。
条件も告白も結末も全部俺から言い出したんだからよ。
こんなやりきれない気持ちになるのも理解ってたしな、が俺をふりかえらないのもひきとめないのも分かってた。
だってアイツは俺を好きなわけじゃない。
それでも俺は、二ヶ月でも三日でもといたかったんだ、つきあいたかった。
青学のマネジャーで、密かに一年の都大会のときから気になってた、すきだった。
やけに、天才不二と仲がよくて、さりげなく不二の話題だして話しかけたこともあったよな、お前不二の彼女?って。
首を降って否定した答えと俺の名前知ってたことに俺がどれだけ驚いたか嬉しかったか、あいつは知らない。
告白だって何回大会であってもできなくて、でも少しでも俺に気付いて欲しくて、みてほしくて。
はじめてパフォーマンスしたとき『跡部くんっておもしろいんだー』って言われたからずっとしてた。
期限がなければいいだせなかった、ずっと。
条件がなければにアタックできなかった。
「二ヶ月でいいから、そばにいてくれ」
言葉に頭をふって『いいよ、たのしそうだしー』って答えてくれたあの瞬間がいまはうらめしい。
跡部の家の子供であることさえもうっとおしい。
婚約者なんて、いらないんだ。
相手がどこの有名料亭のおじょうさんだろうが、どんなにキレーだろうが舞姫って称されてることだってどうでもいい。
ステータスがどんなに高くったって俺には関係ない。
俺は、ずっとだけでよかったのに。
しかいらない、しか。
「跡部」
振り返ると、忍足が俺を呼んでいた。
△/▽
追記**
跡部 景吾のひとりぼやき状態。
跡部の独白ってすっごい好きです、
image song t.A.T.u.『STARS』
up date:2003.06.11