ただしいのはどっちなんてすぐに出る答えなんだ。
だけど、それでも 俺はそれを受け入れることが出来ない。
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なんだよ、忍足。そう言った俺はいつもの俺だったはずだ。
なのに、あいつは一言で俺を刺激した。
「もう素直になったらどうなん?跡部」
みとって苦しいわー、二人。といぬくような瞳で言われる。
とのことを言われてるんだと直感してにらみつける。
「てめーには関係ねぇだろうが」
吐き捨てた言葉に忍足が首をふりながらつぶやく。
「そうかー?俺にも十分関係あるで。いまの跡部じゃ部任せられへんねん。あんなスケジュール、ありえへんって思うやろ、フツーに」
俺はスケジュールにも我慢できんし、そんな抜けたような跡部みとうない。泣いとるちゃんやってみとうない。
いいんか?跡部。お前はもう気にしてへんみたいやけどな、不二はちゃんのことすきやで、とられるでちゃん。
はりつめていた空気が弾けたような気がした。
それでも俺は意地をはるしかなかった。
「俺たちは昨日で終わってんだ、関係ねぇ」
忍足が机の表面を軽く叩いた。
表情が固い。
「そんなに大事か?跡部の家が。それとも彩葉嬢の舞いにやられたんか?」
確かにお似合いやもしれんよ、グループの御曹司と老舗料亭の娘。
三条いうたら全国知らんもんおらへんくらいの料亭やもんなぁ。
けど、俺はなぁ景ちゃんがちゃんを愛しとるの知っとるから言うてんのや。
景ちゃんがずっとおかしいんはちゃんともう逢えへんからや、一緒におられへんからや。なんでそれに気付いとるくせして気付かへんフリしとるん?
マシンガンのようにせめたてられてぐちゃぐちゃになる。
忍足の言うことはちくいちあたってる。
でも、俺はそれをみとめられない。
だって、俺は跡部景吾だ。
父さんの跡をついでグループを守らなきゃいけない。
それにはそれ相当の身分の相手じゃなきゃいけない。
文句言われないようにソツなくこなせる相手じゃなきゃ
いけないんだ。
「じゃダメなんだよ...俺の気持ちだけで決まることじゃない」
絞り出すように言った俺に忍足は尚も責めたてる。
「何言うてんのや、ちゃんの気持ちひとつやで?ちゃんを笑わせるんも泣かせるんも景ちゃんにかかっとるんや。それができるんは不二でも誰でもない、景ちゃんだけや」
その言葉に俺は、椅子から立ち上がると走り出していた。
しか 俺には いない。
△/▽
追記**
忍足のしゃべりばっか。
でも、跡部ってこんなことになりそう...絶対。
またはいいコ演じて完璧に結婚しても冷めてるとか、サムー。
image song t.A.T.u.『STARS』
up date:2003.06.22