音がソラにひびいてく。
みどりのフェンスが、ゆれた。
.06
泣いて、泣いてつかれきってうなだれていた。
ほおに当たる綿の感覚がきもちいい。
失いそうになる意識の片隅で終礼のチャイムがひびき、耳をつらぬいた。
周助、部活いかなきゃー
頭では組み立てられるのに声になって出ていってくれない、何も言えない、できるのは周助にしなだれかかることだけ。
周助はそんなあたしに何も言わなかった。
周助のやさしさに、意識を遠くに飛ばそうとした。
とたん、揺らされる肩。
慌てふためいたように呼ばれる名前。
「…!」
周助のせわしない、焦りを感じる声にうつろながら瞳をあける。
「な…に?」
飛びそうな意識をつないで声を返す。
すると、周助は高い、空まで届きそうな緑のフェンス越しに校門を差して、ほほえんだ。
「、あそこみて」
うつろにあわせた視点に飛び込んできたのは特徴のある立ち姿。
チェックのズボンとネクタイ。
そして深い茶の髪。
思わずフェンスに手をかけ魅入る。
「けいご…」
逢いたかった人がそこにはいた。
瞳がはなせなくなって
なみだがあふれた。
△/▽
追記**
そろそろ佳境ですね。跡部の走り出した気持ちは誰にも止められないのです。
ていうか、恋愛って往々にしてそうだけどね。
image song t.A.T.u.『STARS』
up date:2004.07.24